先日、2025年1月28日（火）に川崎市産業振興会館で開催された「事業承継フォーラム」にて、グラフィックレコーディングを担当させていただきました。
本フォーラムは、川崎市工業団体連合会の新春経済講演会と共催され、地域の中小企業支援や事業承継をテーマに熱い議論が交わされました。中小企業の現場で奮闘する経営者たち、そしてそれを支える行政・支援機関の一体感が際立つイベントでした。
事業承継への熱い想い
フォーラムの冒頭を飾ったのは、藤沢久美氏（株式会社国際社会経済研究所 理事長）による基調講演「地域への想いと信頼関係の輪で川崎モデルを未来につなぐ」。
藤沢氏は、国内外の投資運用会社勤務を経て、日本初の投資信託評価会社を起業し、さらには世界的格付け会社へ売却した経験を持つ経営者です。現在は、テクノロジーを活用した社会課題解決に注力し、川崎市の中小企業支援にも深く関わっています。
特に印象的だったのは、「The Good Ancestor（グッド・アンセスター） わたしたちは『よき祖先』になれるか？」 という問いかけでした。
藤沢氏は、事業承継とは単なるバトンリレーではなく、後継者が受け継ぐのは企業の資産や技術だけでなく、地域とのつながりや経営理念も含まれると語られました。
そして、川崎市の中小企業の皆様が持つ可能性と、それを次世代へとつなげる意義についても触れられ、地域に根付いた企業が、その土地ならではの文化やネットワークを未来へ受け継いでいくことの重要性を考えさせられる内容でした。
町工場社長たちと行政のリアルな声
パネルディスカッションでは、「モノづくりの街・川崎を支える町工場社長から次世代へのメッセージ」と題し、川崎の製造業を支える3名の経営者と、行政・公的支援機関の立場からの代表者が登壇しました。
パネリスト:
- 手塚 健一郎 氏（三和クリエーション株式会社 代表取締役社長）
- 五十嵐 崇 氏（株式会社和興計測 代表取締役）
- 阿部 早苗 氏（有限会社トワダ 代表取締役）
- 宇崎 勝 氏（ストラテック株式会社 代表取締役／行政・公的支援機関代表）
モデレーター:
- 藤沢 久美 氏（株式会社国際社会経済研究所 理事長）
登壇者の皆さんは、第三者承継、従業員承継、親族内承継、それぞれのお立場で経験した事業承継のリアルなエピソードを赤裸々に語り、想いのこもった言葉が飛び交いました。
「事業継承をされる際に苦労したこと」
「事業承継をどのように進めているのか」
「地域とどのように関わり続けているのか」
それぞれの言葉には、苦労や挑戦、葛藤、そして未来への希望が込められていました。
また、宇崎氏は行政・公的支援機関の立場として、こうした経営者の想いを受け止めながら、どのように中小企業の事業承継を支えていくべきかについての意見を述べ、支援策の方向性についての議論が展開されました。
“チーム川崎”の一体感
このイベントを通じて感じたのは、「チーム川崎」としての一体感でした。登壇した経営者だけでなく、会場にいた多くの中小企業関係者、支援機関、行政関係者が、それぞれの立場から課題に向き合い、支え合っている姿が本当に心に響きました。
また、会場ではグラフィックレコーディングを活用し、議論の要点や登壇者のメッセージを可視化しました。リアルタイムでの記録が、参加者にとっての理解促進に貢献できましたら幸いです。
川崎モデルが示す未来
事業承継は単なるバトンリレーではなく、時代の変化を見据え、新たな成長の可能性を引き出しながら、次世代へとつなげていくプロセスだと今回のセミナーを通じて学びました。
川崎市が取り組む「川崎モデル」は、企業と地域、行政の連携によってその可能性を広げています。今後もこの動きを支え、より多くの企業が次世代へとスムーズにバトンを渡せるような仕組みづくりが求められるでしょう。
今回のフォーラムは、その大きな一歩となるイベントでした。
今後の川崎の中小企業支援の進化にも、引き続き注目していきたいと思います。
関連書籍のご紹介
藤沢久美氏の著書 『なぜ、川崎モデルは成功したのか』 は、川崎市の産業支援の成功事例を深く掘り下げた一冊です。川崎市の中小企業支援の取り組みや、地域の絆・一体感を知りたい方におすすめです。地域経済の発展に興味がある方も、ぜひ手に取ってみてください。
川崎市の中小企業支援に関する取り組み
川崎市の公式ホームページでも、今回の事業承継フォーラムをはじめとする中小企業支援の取り組みが紹介されています。事業承継に関する支援策や地域の取り組みを詳しく知りたい方は、ぜひこちらもご覧ください。
▶ 川崎市公式HP「中小企業支援・事業承継の取り組み」
川崎市のHPには、中小企業支援のストーリーがギュッと詰まっています。地域の産業を支える取り組みがどのように行われているのか、その全体像を知ることができますので、ぜひチェックしてみてください。
