描いてつなぐ防災の記録——防災チッカイギ in 能登で見えた“未来への矢印”

2025年6月2日、石川県七尾市・和倉温泉「のと楽」で開催された「防災チッカイギ in 能登」。
令和6年の能登半島地震、そして奥能登豪雨災害からの復旧・復興を振り返り、
次の災害への備えを考えるための対話の場が開かれました。

この会には、被災地で活動を続けてきた行政職員やボランティア、企業、NPOなど、
多様な立場の人々が集まりました。
それぞれがどのように支え合い、どんな思いで復興に向き合ってきたのか。
その歩みを共有し、これからの地域の在り方をともに考えるための時間でした。

私は、グラフィックレコーディングチームの一員として参加し、
語られた言葉や背景にある思いを、絵と文字で可視化する形で記録しました。
現場で見えた「記録とつながりの力」を、描き手の視点から振り返ります。


目次

防災チッカイギとは?

全国から集まった防災チッカイギ in 能登 グラレコチーム

「防災チッカイギ」は、能登半島地震・奥能登豪雨災害の被災地で活動してきた行政職員、ボランティア、企業、NPOなど、さまざまな立場の人たちが一堂に会し、この1年半の歩みを共有しながら、復旧・復興の先にある未来をともに考える場です。

名称の「チッカイギ」は、行政デジタル改革共創会議「デッカイギ」の地域版・スピンオフとして企画されたもの。
被災地の“現場の知”を結び合わせ、次の災害への備えへとつなげていくことを目的に開催されました。

  • 開催日:2025年6月2日(日)
  • 会場:和倉温泉「のと楽」/東京サテライト「LODGE」/オンライン配信
  • 参加:57団体・約280名(現地126名・東京41名・オンライン113名)
  • 主なプログラム:「能登災害対応 全員ピッチ」— 各団体が5分間で活動と課題、そして次への提言を発表

会場では、言葉になりきらない想いや現場の熱を記録するために、
「グラフィックレコーディング(グラレコ)」が導入されました。
絵と文字で可視化することで、参加者の理解を助け、再び“対話”を生み出す仕掛けとして機能しました。

▶ イベント公式レポート: 防災DXラボ note記事


防災チッカイギ in 能登 を訪ねて

今回、「防災チッカイギ in 能登」に参加するため、金沢の地を訪れました。
グラフィックレコーディングを通して、今この場所で起きていること——
みなさんが「今」感じ、語っていることを、少しでも“かたち”にできればと、心を込めて描いてきました。

あの地震が起こったのは、2024年の元日。
私は家族と鹿児島で過ごしている最中でした。
テレビから流れてきた火災の映像や被害の様子。
「お正月」という穏やかな日常との落差が、今も胸に残っています。

でも、あれから1年半。
能登のことが少しずつ記憶の彼方へと遠ざかっていたことに気づきます。

静けさの中に残る痕跡。歩きながら確かめた“いま”
美しい海が、静かに広がっていた。
倒壊した建物と、再生への道。

現地を訪れ、被害の大きかった輪島地域をアテンドしていただきながら歩いたとき、
目にしたのは——倒壊した建物、傾いた信号、波打つ歩道、むき出しの山肌。
かつて賑わっていた輪島の朝市の跡地には、何も残っていませんでした。

そのすぐ隣に、穏やかな海が広がっていました。
静かで、美しくて、けれど胸が詰まるような光景でした。


未来へ向かう力強い矢印 ↗

語られた言葉を、一つひとつ丁寧に描く。

会議当日、私はグラレコの中でたくさんの「矢印」を描きました。
それは、登壇された方々の言葉の中に、
「復旧」から「復興」、そして未来へと向かう力強い流れを感じたからです。

一方で、制度や支援の“矢印”が、まだ現場の暮らしに届ききっていないという声もありました。
現実は、決して一枚の絵に収まりきるものではありません。

それでも描きながら感じたのは、能登に生きる人々の“未来への矢印”。
災害の痛みを抱えながらも、歩みを止めずに進み続ける力でした。
その姿は、言葉を超えて、心に強く刻まれました。

グラフィックレコーディングが、ほんの少しでもその歩みに寄り添うことができたなら——
それが何より嬉しいことです。


グラレコ展示場で生まれた“再びの対話”

会場には「グラレコ展示場」が設けられ、描かれた記録を前に、参加者が足を止めて語り合う姿がありました。
“あの時の想い”を振り返り、“これからの支え方”を考える。
グラフィックレコーディングが、記憶と対話をつなぐ媒介となっている光景が、とても印象的でした。


ご縁に感謝を込めて

ご一緒したグラレコチームの皆さん(守随佑果さん、徳永樹菜さん、小野奈津美さん)。
そして、事前視察から当日の運営まで支えてくださった杉井さんをはじめ、関係者の皆さま。
あたたかく迎え入れてくださり、本当にありがとうございました。

この経験は、私にとって「描く」ことの意味を改めて問い直す時間となりました。
この投稿が、誰かにとっての“思い出すきっかけ”になれば幸いです。
そして、描くことを通じて、復興の歩みに小さくでも貢献できたらと願っています。


🕊️ イベント詳細: 防災DXラボ note記事
🕊️ グラフィックレコーディングのご相談: ワカツタ公式サイト

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